2009年7月29日滋賀県秦荘中学校の柔道部で顧問に投げられた直後に意識不明になり、約1ヶ月後に急性硬膜下血腫で死亡した村川康嗣(当時12歳)の柔道事故の真実を明らかにし、それを多くの方に知ってもらうためのブログです。
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全国柔道事故被害者の会を設立し、その活動の中で、私は常に事故を防ぐのは指導者次第だと言い続けてきました。
しかし、同時に多くの指導者の方が安全の知識を欠いたままで指導をされている現実にも直面をいたしました。

柔道で命にかかわる重大事故の大半は回転加速力による脳損傷(加速損傷)であるにも関わらず、その知見、発生機序については、被害者の会が2010年6月に第1回目のシンポジウムを開催し、そこで柔道による脳損傷の危険性を訴えるまで、全柔連ですらその事を認識されていませんでした。
多くの柔道家の方は、頭を打たなければ頭部事故は発生しないという認識を持たれており、そして、それは今でもまだ変わっていないのではないかと思っています。

また、多くの柔道の指導現場において極めて暴力的な指導が行われていることも解りました。
我が家の事例でも、指導中に平手で殴る、蹴るなどの暴力行為が元顧問によって日常的に行われていました。
多くの場合、これらは悪しき風習として看過されたままでした。
暴力をもって指導をする人間に、安全への配慮など出来る訳がありません。

指導者に医学的な知見があり、安全への真摯な配慮さえあれば、多くの事故は防げるのです。
再三このブログでも取り上げている通り、フランスの事例がそれを証明しています。
指導者の質の向上、それが何よりも今の日本の柔道に求められているものです。

ただ、この事を訴えながらも、指導者が自らの意識を変え、暴力を排除し、指導方法を抜本的に見直すには、長い年月がかかるだろうと個人的には思っていました。50年かかって、それができるかどうでかさえ疑問であると悲観的に推測をしていました。

しかし、今、日本の柔道に大きな変革のチャンスが到来しています。
特に、昨年の柔道女子代表選手の暴力問題の告発以来、日本の柔道界は内外から大きな変革を求められています。
そして、今、この機会に、すべての膿を出し切り、襟を正すことが出来れば、日本の柔道は大きく生まれ変われると思っています。

この機会に、全柔連が暴力を徹底的に排除し、安全意識を徹底することができれば、私が50年以上かかるのではないかと危惧をしていた指導者の意識改革が極めて短期間で出来るはずです。

これは、日本の柔道の未来に関わる問題だと思います。
その事を、全柔連はどれほど認識されているのでしょうか。

日本の柔道人口は年々、数千人の規模で減少しています。
被害者の会設立当時は19万人と言われていた日本の柔道人口は、今や17万人程度にまで落ち込みました。
これを、柔道に対するネガティブキャンペーンのせいだと捉えられている一部の柔道家の方がいらっしゃいますが、日本の柔道が、安全への配慮を考えず、旧態依然とした指導方法を変えようとしなかった結果でしかないと私は考えます。

今こそが、1881年に嘉納治五郎師が柔道を設立して以来、最大のチャンスであることは間違いありせん。
このことを本当に真摯に考えなければ日本の柔道の未来は暗いものになると私は思います。

全柔連は、2011年4月に指導者の資格制度の導入を決定し、今年度(2013年度)より柔道指導者資格制度を完全導入するとしています。
これにより新たに柔道の指導者になる方には安全講習が義務付けられました。
しかし、この安全講習は、当初30〜40時間の講習とされたものが、徐々に軽減され、今では複数日の講習と曖昧な表記に変えられています。
当初でさえ、フランスで行われている100時間を超す講習に比べて、いかにも簡易な講習内容だと危惧をしていましたが、それがさらに軽減される方向になっています。
さらに、現役の指導者の方にはこの講習すら免除され、わずか数時間の講習と実技だけで指導者資格が認定されます。

大きな変革の波が来ているにも関わらず、未だに、このような事がされているのが日本の柔道の現実です。

今こそが、変革のチャンスなのです。
このチャンスを逃せば、日本の柔道の未来は無いという思いで改革に取り組まれるべきだと考えます。

お題目だけの資格制度を導入するのではなく、暴力を完全に排除し、徹底した安全知識と医学的知識を持たせた厳格な資格制度と指導方法を導入をすることで、日本の柔道もフランス並みに安全に指導できる事を証明するのです。
それが出来ない指導者には現役の指導者であろうが、決して指導者としては認めないという強い姿勢を打ち出されるべきです。
柔道は危険なものという認識から、柔道は安全に行えると、自らの姿勢でそれを証明されるのです。

全柔連は、今が危機的状況であると捉えているかもしれませんが、この状況こそが、変革の最大のチャンスです。
今、この事が出来なければ、私は日本の柔道に未来はないと考えます。



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【2013/04/08 11:21】 | 柔道の安全について
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女子柔道の日本代表選手らが強化合宿で園田隆二監督と男性コーチによる暴力やパワーハラスメントをJOCに告発したというニュースが大きく報道れています。

NHK
日刊スポーツ
産経スポーツ

全柔連は、この事実が発覚したことを受けて記者会見を行い、事実関係を認めて謝罪しましたが、園田監督が深く反省していることから、このまま代表監督は続投させるのだそうです。
また、同時に処分を受けた男性コーチについては「選手同様、将来性がある」と男性であること以外は公表をしないという事です。
今更驚きはしませんが、いかにも甘い処分です。

しかし、その反面、JOCには、告発をしたとされる15人の選手の名前を聞いたと言うことで、これに対しJOCからは、選手を守るために名前は出せないと言われたと村上清・全柔連事務局長の話が掲載されていました。
JOCの判断は当然でしょう。

指導者が絶対である柔道界の体質を考えれば、告発をされた選手の皆さんは、ご自分の選手生命をかけるほどの非常に大きな決断の元にこの告発をされたのだと推測します。
そして、その大きな決断をさせるほど、この暴力行為は選手の皆さんには堪え難いことであったのだと思います。

そもそも、この問題については2012年の9月の時点で、すでに全柔連には情報が入っており、調査の結果、園田監督本人が暴力行為を認め、監督が始末書を提出するとともに、同月下旬に監督が暴力を振るった選手に口頭で謝罪したことで、全柔連は問題が収束したと認識していたのです。
逆にいえば、この暴力問題をその程度の認識でしか捉えていなかったのです。

しかし、この時にこの問題が解決されなかったからこそ、選手の皆さんはJOCへの告発に踏み切ったのだと思います。
全柔連は、今回のこの告発が、何故全柔連ではなくJOCに対して行われたのか、その理由を深く考えるべきです。
全柔連の暴力行為への認識の甘さ、対処の甘さが、今回の自体を招いたのだと私は思います。

そして、さらに容易に推測できるのは、このような事は日本の柔道界においては日常的なことであり、今回の問題も、氷山の一角でしかないであろうという事です。

いま全柔連は組織を上げて、柔道の安全問題に取り組んでいるという姿勢を示しています。
しかし私は、暴力行為を行う人間にも、暴力行為を容認する人間にも、柔道の安全を語る資格はないと思っています。

体罰の問題でも記載をしましたが、暴力を愛の鞭であるとか、暴力で選手を強くするなどというのは、暴力を振るう側の一方的で勝手な理屈でしかありません。
暴力行為を行う人間にも、その暴力行為を容認する人間にも、真の安全配慮などできる訳がありません。

全柔連が本当に柔道の安全を考え、柔道の未来を考えるのであれば、暴力による指導を徹底的に否定し、排除するべきです。

そして今回の問題についても園田監督らには厳正な処分を課すべきであると考えます。
告発をされた選手の方は、何よりもそれを望まれて大きな決断のもと、この告発をされたはずです。

暴力問題を仕方のないこととして容認し、放置してきた柔道界の体質が、いま問われているのです。
この問題の重大さを全柔連は真摯に考え、毅然とした対応をされるべきです。


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【2013/01/30 15:45】 | 柔道の安全について
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全柔連が柔道の指導者に資格制度を導入するという事は、以前にもこのブログで記載をさせていただきました。

全柔連のWEBサイトに「公認指導者資格制度」についての案内が2011年9月22日付けにて掲載されました。
http://www.judo.or.jp/article-reader/internal-1.0.php?id=1708-shidousyashikaku20110913

ここに、現在柔道を指導している方について、このようなQ&Aが掲載されています。

Q1 現在、現場で指導している人はどうなりますか?
 移行措置として都道府県からの推薦をもとに暫定的に指導員に認定します。定められた期間に講習会を受講して正式資格を取得してください。また,大会出場の制限も当分は緩める予定です。



2013年以降については、30時間~40時間の講習を受け、さらに試験を受けて合格した者についてのみ、資格が付与されるのだそうですが、現在柔道の指導をしている方には、移行期間に講習を受けることで資格を付与されるのだそうです。

そして、この移行期間に行われる講習とは、1時間半の講習と1時間半の実技だけなのだそうです。
これさえ受ければ、現在柔道を指導されている方については、全柔連の「公認指導者資格制度」が付与されるという事になります。

大丈夫でしょうか?

今まで、柔道で命を失うような大きな事故が起こってきたのは、従来の指導方法に問題があったからです。また、指導者の方に安全への専門的な知識が普及していなかったからです。
この問題を正す必要があったから、資格制度が導入されたはずです。

本来なら、従来の指導者の方にこそ、より正しい知識が必要とされるのではないでしょうか。
実技を含めた3時間の講習で、試験もされずに、それらが身に付くものなのか、私は疑問を感じます。

また、私は、このような簡単な形で資格が付与される指導者の方も不幸だと思います。

柔道事故の裁判において、事故を起こした指導者の方は、事故の予見は不可能であったと主張をされます。
昨日、記事にした松本の柔道事故でも指導者の方は同様の主張をされました。
加速損傷なる知識は一般的ではなく、したがって事故を予見することはできなかった、と主張をされたのです。
言い換えれば、事故が何故発生するかという医学的な知識は一般的ではないので、その事を知らないのは仕方が無い。したがって、その事が機序になる事故が発生したとしても、その予見はできなかった。という事になります。
多くの柔道事故では、このような無意味な主張が繰り返されてきました。

しかし、今後、「公認指導者資格制度」を付与された指導者の方は、すべからく安全への知識を身につけたとみなされることになります。
その指導者の方に、実質的な知識が有るか無いかは関係なく、資格を付与された時点で、それは有るものと見なされるのです。
加速損傷などの事故の発生機序となる医学的な知識も当然、習得されたと見なされる事になります。

今の移行措置のままでは、実質的な知識のないままに資格のみを付与される指導者の方が出てくるのではないかと危惧をします。
結果として、そのような指導者の元では、これからも不幸な事故は無くならないと思います。

松本の柔道事故裁判においては、上記の指導者の主張は、退けられました。
加速損傷の知識は一般的であり、事故の予見は可能であったとされたのです。
資格制度が導入されていない時点で既に、医学的な知識を含む安全知識は一般的である、とされているのですから、資格制度が導入された以降は、もはや、指導者に医学的な知識を含む安全知識がある事は議論する余地すらない常識となります。

もし、大きな柔道事故が起こり、刑事、民事の裁判になった場合、資格を付与されている以上は、医学的な安全知識が習得されている事を前提として裁判が進むことになり、当然、責任を追及されるでしょう。
実質的な知識のない指導者の元で不幸な事故は起こりつづけ、責任を問われる指導者もまた出続けることになります。

資格は、与えれば良いというものでなく、資格を持つに値する人間に与えられなければなりません。
真剣に柔道事故をなくす事を考えるなら、資格を付与する人間にその適性があるのかないのかを、見極める必要があるように思います。
現在の指導者に、横滑りで簡単に資格を与えるのではなく、現在指導をしている人間であっても、適性を欠く人間には、資格を付与しない、という事が重要であると思います。
少なくとも、過去に重大な柔道事故を起こした指導者には資格を与えないか、与えるにしても第三者が納得のできる厳しい審査基準が必要になるでしょう。

今の移行措置は、あまりにも簡単に資格制度を考えているように思えてなりません。
今のままでは、指導をする側にとっても、指導をされる側にとっても、不幸が続くのではないかと思います。



また、上記の全柔連のページには、このようなQ&Aも掲載されています。

Q4 柔道部の顧問をしてくれと頼まれている教員です。しかし、柔道経験はなく資格をとるつもりもありません。どうすればよいですか?
 学校教員に対しては,現場の実情を考慮し。条件付きで資格を認める例外措置を準備しています。


柔道事故が多発している現場は、まぎれもなく学校です。
その学校の柔道部の顧問には、資格を認めるために、例外措置を準備するという事です。

専門的な知識のない人間に、例外措置で資格を付与することは極めて危険です。
事故を減らすどころか、事故を増やすことにさえ繋がるように思えます。
そして、たとえ例外措置で資格を取得したとしても、事故が起こった時の責任は発生します。

大丈夫でしょうか?
これで、本当に柔道事故がなくなるのでしょうか?

全柔連にお伺いしたい。
このような制度で本当に大丈夫ですか?
このような制度が、本当に柔道を良くする事に繋がるのでしょうか?


指導者の資格制度の導入には賛成ですが、今のままでは極めて杜撰であるという感想しか持ちません。
柔道による事故をなくすためには、どうすれば良いのか、資格制度の導入にあたり、今一度真剣に考える必要があります。



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【2011/09/25 11:58】 | 柔道の安全について
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前回記事にした、全柔連医科学委員会の二村先生の衝撃的なインタヴューが朝日新聞に掲載された翌日の2011年7月6日、このブログでも以前取り上げた全柔連の柔道指導の手引書「柔道の安全指導」の改訂版(2011年第3版)が全柔連のWEBサイトにアップされました。

以下のリンクよりダウンロードできます。
「柔道の安全指導 」(PDF:約10Mb)

改定前は36ページの内容でしたが改定後は47ページとなり、増えたページの大半を脳損傷事故への対応や脳震盪への対応などの記述が締めています。
このブログでも再三取り上げた「加速損傷」の記述も入り、頭を直接打たなくとも投げ技の回転加速力だけで脳損傷が発生する事を全柔連も認めたという事になります。

これらの記述は、二村先生がインタヴューでお答えになられていた、医科学委員会が作成した頭部外傷発生時の対応マニュアルが元になっているのだと思われますが、この中で触れられている、脳損傷事故の発生機序、加速損傷の発生機序、脳震盪への対応などの内容は、全国柔道事故被害者の会が昨年6月のシンポジウム以来、再三にわたって述べていた事です。

今までこの国で、毎年毎年多くの犠牲者を出しながら、何十年もの間放置をされ、真剣に安全対策を講じられなかった柔道事故。
その柔道事故の撲滅のための第一歩が、非常に遅まきながら、今、ようやく始まったのだと実感をします。

そして、この事は、おそらく、全国柔道事故被害者の会の活動がなければ、さらに何年も放置されることになったであろうと想像します。
これほどの多くの犠牲者を出さなければ、そして、被害者の側から声を上げていかなければ、この国の柔道が変わらなかったであろう事、その事には憤りを感じます。

この安全指導の手引書が、多くの尊い犠牲者の上にようやく出来た事を、全柔連には、また柔道の指導者の方には、決して忘れないでいただきたいと思います。

この手引きの内容が絵に描いた餅にならず、現場レベルの指導者に徹底され、柔道による重大事故の撲滅に繋がることを期待します。





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【2011/07/13 16:55】 | 柔道の安全について
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柔道を取り巻く環境で大きな動きがありました。

2011年7月5日(火)の朝日新聞の朝刊に全柔連医科学委員会副委員長の二村雄次氏のインタヴューが掲載されました。
オピニオン欄のほぼ全面を使った記事ですので多くの方がお読みになったと思います。

このインタヴュー記事の中で、全柔連の医科学委員会の副委員長である二村先生ご自身が、柔道では今まで頭部損傷に対する安全対策が十分に検討されていなかった事を認め、安全対策が必要なことに触れられています。

全柔連の中の、しかも医科学委員会の副委員長である二村先生が、今まで安全対策がとれていなかった事を認められ、ここまで踏み込んだご発言をされた事にまず驚きました。

このインタヴューの中で二村先生は、名古屋大の内田良準教授より中高における柔道の死亡事故の多さを知らされた時に「想像を絶する世界だった」と話されています。

また、来年度から始まる武道必修化を安全対策が不十分な現状のままで行うことに懸念がある事にも触れられています。

さらに、柔道事故について、事故が起きた時に「第三者による柔道事故調査委員会を設けるべきだ。原因を突き止め、再発防止策までつくる。二度と被害者を出さないために絶対に必要」と話されています。

二村先生は愛知県がんセンターの総長であり、胆道がん治療の世界的権威としても知られています。
また全国柔道事故被害者の会のシンポジウムにもお見えになっていただき、多発する柔道事故に心を痛められ、事故撲滅を真摯にお考えになっていただいている方です。

二村先生は、こう締めくくっています。
「私は医療事故では『逃げない、ごまかさない、隠さない』という姿勢が大事だと言い続けてきた。柔道事故でも同じ事を強く言いたい」

全柔連の重鎮からの大変貴重なご意見です。
是非、ご一読いただきたいと思います。



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【2011/07/12 23:05】 | 柔道の安全について
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子どもの発達と武道
加藤 靜恵
札樽病院・北翔会あゆみの園(小樽・札幌)で発達障害(自閉症・広汎性発達障害・注意欠陥多動など)の小児のリハビリテーション(感覚統合療法主体)を担当している小児科医です。
 私の子どもの学童保育や少年野球のお仲間のお子様でも下記のような例が経験されています。
①学校で同級生とすもうをとってあびせ倒され頭蓋内出血、痙攣を起こしてんかんの後遺症を残した(跳び箱が飛べず、かえるとびができない。しかし、中学入学後、柔道を習い、雪道で転倒しても受身ができるようになって頭を打たなかったとその後お母様から聞きました)
②学童保育で低学年の子に負けてやろうと思って転んで自ら頭を打ち、帰宅後に目が見えないと訴え、一過性の視力障害を起こした。
 ③柔道部で技を掛けられ、硬膜外血腫を生じ入院加療を要した。
 ④転倒したり、押さえつけられた時、手が出ず、項部を伸展保持できないので前歯を損傷させる。

 リハ科として小児精神科から広汎正発達障害診断名での紹介が多く、支援学級や支援学校在籍だけでなく、普通学級に在籍している不器用を主訴に受診され留お子様もいます。
 中学生になって、ノートが取れない・運動が苦手などを主訴での受診も増えています。
 このお子様たちに共通する下記のような身体の機能不全を抱えています。
 四つ這い・高這い位が取れない(脊柱の柔軟性がなく、床に手がつかない・床に手をつけ幼児がする見えた・見えたのポーズができない)。
身体の硬いことは自慢になりませんと保護者の方にお話しています。乳児期に這えないということは、大腰筋・腸腰筋を使って股関節を屈曲できず、肩甲帯を使って上肢を動かす協調運動ができず、脊柱起立筋や腹横筋、腹斜筋などインナーマッスルのトレーニングが十分できないまま起立・独歩してしまったということです。
 蹲踞ができない(股関節や足関節が十分屈曲キープができず和式トイレで用を足せない・ヤンキー座りができないジベタリアン、骨盤帯がコントロールできず骨盤が後傾の仙骨座り)
非対称性緊張性頚反射(ATNR)対称性緊張性頚反射(STNR)などの原始反射が残存しており、頸部を回旋させると肘関節屈曲や肩甲骨同時に動く、頸部を屈伸させると胸椎・腰椎・股関節へも動きが連動し、頭部の動きとそれ以下の脊柱の動きが分離していない。(年長児では自転車に乗って頸部を回旋させたとき手ブレーキが効きづらい、書字しているとき手の力が脱けるというようなことに続きます)
 姿勢反射の異常(パーキンソン病の高齢者と同じ)、保護伸展反応(前後左右に押された時に、手が出ず、肘で着地するか身体を固める)が獲得できていない(怖がって、跳び箱が飛び越せない・雑巾がけができない、反射的に項部を伸展して顎を引きを保持し続けられない)。
  肩甲帯・上肢の同時収縮が十分でなく、脚を抱え込んでのマットゆりかごができない、逆上がりができない。鉄棒・うんていにぶら下がれない。
 20年以上前から小学校では転んで手掌をすりむくのではなく、顔面の怪我をすることに気づかれています。
 歯科医師も運動会で、転んだり・組体操で保持できないなどで前歯を受傷して受診する児童がいることにお気づきです。このようなお子様たちは形成外科や歯科を受診するので、乳幼児健診を担当している小児科医はその事実を知らないままと思われます。
 椅子や洋式トイレの生活が定着し、和式トイレの生活がなくなり、正座で食事をすることもなくなり、正木氏が指摘するように背筋力も年々低下し、足腰は弱くなっています。また、健康な成人のエックス線画像を測定した調査では、40歳未満の女性ではストレートネックか、後方への湾曲が30%を占め、特に20歳代女性では46%がストレートネックでした。従って、ストレートネックは異常なものではありません。最近の若い人は全身の運動量が少なく、頸椎を支える筋力が弱ってきたためだと思われます。と指摘されています(里見和彦 杏林大病院整形外科客員教授(東京都三鷹市) 2009年11月22日 読売新聞)。 道場や体育館の雑巾がけは脊柱の柔軟性・大腰筋・腸骨筋などのインナーマッスルの強化として・準備体操の意味があったと思われます。
 マットゆりかごができない、逆上がりができない、跳び箱が飛べなくても日常生活は送れます。
 事実、都立梅が丘病院精神科の山田佐登留医師は”日常診療で出会う発達障害のみかた”(中外医学社2009)で発達性協調運動障害の場合でも苦手な運動が日常生活上不可欠なものではない場合が多い(縄跳び・スキップ・お遊戯など)ので、不器用さは残存しても社会生活を問題なく送れる場合が多い。いかに、学齢期間中に苦手意識をもち強く自己評価を低下させたり、からかいの対象にとなるかを避けるかを考えていくことが重要である・・・・・苦手な事の訓練を無理強いすることはますますその課題を嫌いにさせてしまうということ、達成可能な興味の持てる課題から段階的に練習を行う必要があるということ、一部の困難は適正な訓練を元に改善できる可能性が或ことがわかったと述べています。
 しかし、協調運動障害・不器用に実態は、危急時に、自分の頭や顔を守る身体運動機能(大脳基底核の姿勢保持・歩行・筋緊張保持機能)が十分に発達していないことであることにはお気づきではないようです。
 姿勢反射の獲得を基にした、子どもの体幹力・身体の発達アセスメントを、乳幼児保育・教育関係者が認識していただきたいと思います。
 母(保育者)子の身体づくりを基盤とした子育て支援・乳幼児保育・体育教育(コアリズムなど)が緊急課題です。


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4月19日の読売新聞・関西版に以下の記事が掲載されました。
引用いたします。

■読売新聞(2011年4月19日掲載)
柔道の練習中に頭などを打ち、死亡や重体事故が絶えないことを受け、全日本柔道連盟(全柔連、事務局・東京)は指導者の安全管理を徹底するため、「指導者資格制度」を設ける方針を固めた。頭部外傷などに関する認識が低い指導者がいることが、事故が減らない原因と判断。指導者には、基本的な受け身の指導などを教える講習会の受講を義務付け、更新制とする。柔道を含む武道は2012年度から中学校で必修になることから、事故の防止に全力で取り組む。22日の理事会で決定する。
 柔道の事故に詳しい内田良・名古屋大准教授によると、学校で練習中に中学、高校生が死亡した事例は1983~2011年1月に全国で114件発生している。
 投げられて頭部などを打ち、硬膜下血腫や脊髄損傷を起こしたケースが目立つが、急性心不全や熱中症でも死亡している。学校以外でも昨年11月、大阪市内の小学1年男児が練習中に頭を強く揺さぶられるなどして死亡している。
 全柔連ではこれまで、初段以上でチームの監督やコーチなど指導的立場にある人が登録する制度を設け、約3万人が登録。医師などを講師に招いた自由参加の講習会や指導マニュアルも作成していたが、指導法は個々の裁量に任されているのが実態だ。中には脳しんとうを起こしても練習を再開させるなど危険性の認識が低い指導者もいるという。
 新たな制度案では、講習会の受講を義務付け、資格に有効期限を設けて、更新制にするなどを検討している。今年度中にも導入。現在登録している指導者も対象とし、今後2年間で講習会を受けさせて改めて資格を取らせる方針だ。
 全柔連の坂本健治総務課長は「これまでの対策が必ずしもすべての指導者に浸透していたとはいえず反省している。安全意識の高い指導者を育て、事故の予防に努めたい」としている。
(引用ここまで)

本日(2011年4月22日)開催される全柔連の理事会において決定される予定だそうです。

指導者に資格制度を設けることは、全国柔道事故被害者の会のシンポジウムなどで私達が提唱をし続けてきた事です。
柔道の安全性が一歩前進した事に間違いはなく、この制度の導入には心より賛同をいたします。
しかし、問題はその内容だと思います。

資格を得るために、
1.指導者になりたいものは、どのような内容の講習を受けるのか。
2.講習内容を指導者が理解したことをどのような方法で判断するのか。
3.指導者資格を与えられた指導者が事故を起こした場合、その指導者の資格を剥奪し得るのか。
4.過去に事故を起こした指導者に資格を与えるのか。
等々、資格制度の導入以上に、どのような資格制度にするのかが重要になります。

また、この制度が今までの安全対策のようなお題目だけのものにならないためには、資格制度自体が厳格なものでなければなりません。
この資格制度導入の目的は、柔道による事故を撲滅する事です。講習を受けさせることが目的ではなく、正しい安全知識を指導者に持たせ、それを日常の指導において実践させる事にあります。
当然ですが、柔道の指導方法だけでなく医学的な知識、運動生理学の知識も求められてしかるべきです。

単に講習を受ければ資格が付与されるという制度ではあってはいけません。
指導者が安全指導の知識を正しく有したかどうかについても、例えば試験などで判断をした上で付与されなければなりません。
また、この資格制度の内容に抵触した指導者をどうするのか、それについても厳格に規定をするべきです。
指導者資格制度に抵触する事故を起こした指導者の資格は剥奪し、二度と柔道の指導をさせない、という厳格さも求められると思います。
過去に死亡事故等の重大な事故を起こした指導者について資格を付与するのかどうかも議論されなければなりません。

記事によると今年度中に導入し、2年間で講習を受けさせて資格を付与する方針だそうですが、この期間も可能な限り短縮するべきだと思います。

柔道の事故は、一刻の猶予もできない状況にまで来ています。


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【2011/04/22 13:01】 | 柔道の安全について
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シンポジウムのお知らせが二つあります。

一つ目は、柔道事故被害者の会の第3回目のシンポジウム「柔道事故の撲滅を願う」を年明けの1月15日(土曜)に大阪で開催します。
詳細及び参加申し込みは、全国柔道事故被害者のサイトよりお願いします。

二つ目は、今週末の11月27日(土曜)に静岡市で開催される学災連・学校災害から子どもを守る全国連絡会のシンポジウムです。
詳細は、学災連のサイトをご覧ください。
今年の学災連のシンポジウムのテーマは「中学校武道必修化で子供は安全か」という柔道をテーマにした内容で、全国柔道事故被害者の会からは私が特別報告を行う予定になっています。
柔道は危険なスポーツではないこと、安全で安心できる柔道は実現できる事を欧米の事例を交えて報告いたします。

両シンポジウムとも、ご都合のつく方は、是非ご参加ください。





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【2010/11/24 18:14】 | 柔道の安全について
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No title
June
はじめまして、Juneと申します。
わたくしは米国でアスレチックトレーナーをしておりました。
米国ではスポーツ中の死亡事故などは日本に比べると、頻繁にメディアに取り上げられていると感じます。
また、大学の部活動はアスレチックトレーナーが練習の場にいないと、練習が出来ない制度になっています。
日本の学生スポーツ、また体育がより安全に運営されるよう願います。

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22日に滋賀で記者会見を開いてきました。
詳細は、近日中にアップをいたしますが、帰京してすぐに「柔道少年の涙」という、以下の記事を見つけました

http://www.janjanblog.com/archives/19814

ここに記載された柔道少年のインタヴューを、ご一読ください。
とりわけ、柔道指導者の方には是非、読んでいただきたいと思います。

この記事を書かれた三上英次記者は、柔道事故の危険性と柔道の安全性を追求される記事を多数アップされています。
そして、今回の記事は、まさに私達が、記者会見で問題にした内容そのものです。

このインタヴューを受けた少年の涙の意味を、すべての柔道指導者の方に考えていただきたいと思います。



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【2010/10/23 02:38】 | 柔道の安全について
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昨日の信濃毎日新聞に以下の記事が掲載されました。

全柔連が、安全指導の手引きを改訂し、その中に加速損傷の内容を盛り込むこと、また安全指導講習会への参加を指導者に義務付けるというものです。


柔道指導者 講習義務化へ 全柔連が安全指導へ冊子改定

 全日本柔道連盟(全柔連、東京)は、柔道による子どもの重大事故が相次いでいることから、安全指導用の小冊子を本年度内に改定する。全柔連が講師を派遣、小冊子を教材に開いている安全指導講習会への参加も指導者に義務付ける方針だ。

 学校での事故に詳しい愛知教育大の内田良講師によると、1983(昭和58)年4月から今年6月1日までに中学、高校の柔道部の活動や柔道の授業で110人が死亡している。死因の最多は急性硬膜下血腫で46人。脳と硬膜内の静脈とを結ぶ橋静脈が、急激な外力で引っ張られて切れたとみられる。

(中略)

 相次ぐ事故を重く見た全柔連は6月下旬、柔道家や医師、弁護士ら約20人でつくる「安全指導プロジェクト特別委員会」を設置。事故を防ぐ指導法を研究し、小冊子「柔道の安全指導」を改定、安全な指導法を紹介するDVDも作ることにした。

 特別委員会の委員で、事故の事例分析をした徳島大学病院の永広信治・脳神経外科長(58)は「中学1年、高校1年の初心者に事故が多い。受け身を十分に習得させ、初心者と熟練者を分けた練習計画を作る必要がある」と指摘する。改定する小冊子には、習熟度に応じた段階的指導や、頭を直接床などにぶつけなくても急性硬膜下血腫が起こることなどを盛り込む見通し。

 文部科学省は7月、日本中学校体育連盟(中体連)や国公私立の高校、大学などに対し、全柔連の小冊子を参考に安全指導を徹底するよう求める通知を出している。

信濃毎日新聞 2010年9月21日


この国の柔道が、事故の実態を調査せず、事故を放置してきた事を考えれば、この記事の内容には隔世の感があります。
手前味噌ではありますが、今回の決定については全国柔道事故被害者の会の活動が背景にあることは間違いありません。

それまで全柔連が認識さえしていなかった柔道における加速損傷の危険性について言及し、欧米の事故事例を調査し、さらに指導者への安全指導の義務化を唱えてきたのは、私達被害者の会です。

この動きが単なるポーズではなく、本当の安全指導へと繋がる事を願ってやみません。
指導者に講習会の参加を義務化するというのであれば、それに違反した場合の罰則規定がどうなるのかも明確にされるべきだろうと思います。
さらに、講習会における講習内容についても、今までのように柔道経験者が滔々と精神論を語り、先日記載したように、セカンドインパクトシンドロームの内容や機序に触れもせず名前だけを覚えて帰ってくださいという、レベルの低いものではいけません。

全柔連が本当に柔道事故を減らすつもりなら今までの安全講習会のやり方ではなく、私達のシンポジウムで講演をされた愛知教育大学の内田先生や足柄上病院脳外科の野地先生という専門家の方に、日本における柔道の死亡率の高さや柔道で発生する加速損傷の機序について語っていただき、基本的な部分から安全について講習をする必要があると思います。

また、指導者への講習会の義務化という事についてさらに言及するなら2012年度から行われる武道の必修化で、柔道を指導する教師にたいして、どのような安全講習をするのかも大きな課題となるでしょう。
柔道経験のない人間が柔道を教えるということになれば、柔道経験者以上の安全講習が必要になるのは誰が考えても明らかです。

大きな動きが出てきた事は、大変歓迎いたしますが、この動きが本当の安全に繋がるためには解決しなければいけない問題も、また山積しています。

また、このような動きが、誤った指導をした指導者が負うべき責任についても明確にされることに繋がって行くのだと思います。


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【2010/09/22 10:59】 | 柔道の安全について
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6月に開催いたしました全国柔道事故被害者の会のシンポジウムには、多くの方がお越しいただき、様々なご意見をいただきました。
いただいたご意見の中で最も多かったのが、同様のシンポジウムを東京以外でも開催できないか、というものでした。
このご要望を受け、全国柔道事故被害者の会では、柔道事故の現状を知っていただき事故撲滅に繋げるために、全国にてシンポジウムを開催することを決定いたしました。

まずは、全国開催の第一歩として、9月12日に第2回シンポジウムを長野県で開催いたします。
詳細は、全国柔道事故被害者の会のWEBサイトシンポジウムのお知らせにてご確認ください。

12月には大阪にて東京と同規模の第3回目のシンポジウムを開催いたします。

2011年につきましては、スケジュールが確定次第順次掲載いたします。
また、シンポジウムの開催を希望される方がいらっしゃいましたら、是非ご連絡をいただきたく思います。


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【2010/07/28 23:50】 | 柔道の安全について
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