2009年7月29日滋賀県秦荘中学校の柔道部で顧問に投げられた直後に意識不明になり、約1ヶ月後に急性硬膜下血腫で死亡した村川康嗣(当時12歳)の柔道事故の真実を明らかにし、それを多くの方に知ってもらうためのブログです。
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前回、安全対策を含め準備が不十分なままで必修化に踏み切る事に懸念を表明いたしました。

実は、もう一つ心配をしている事があります。それはセカンドインパクトシンドロームについてです。
セカンドインパクトシンドロームについてはこのブログでも再三取り上げてきました。
損傷の度合いに関わらず、頭部に衝撃(脳震盪などを伴う事が多いと言われています)を受けた後、1度目の衝撃から短期間に2度目の脳震盪を伴うような衝撃を頭部に受けると致死率50%を超すセカンドインパクトシンドロームという脳損傷が発症しやすいというものです。

カナダ柔道連盟では、このセカンドインパクトシンドロームを防ぐために、一度脳震盪を起こすと通常の柔道の練習に復帰するまでに実に6段階の復帰ステップを踏まなければなりません。練習を再開するにあたっては、医師の診察をうけなければならないと決められています。

日本においても、日本ラグビーフットボール協会では、脳震盪を起こしたプレイヤーは、受傷後少なくとも3週間、試合またはトレーニング・セッションに参加してはならず、再び参加する場合は、適切な医師の診察後、症状がなく参加できる状態であるとの所見を得てからのみ参加できる、と決められています。

最近になってようやく日本の柔道界でもこのセカンドインパクトシンドロームについて注意喚起を行っていますが、まだまだ不十分であり、現場の指導者に徹底されているとは言えません。
柔道では今まで脳震盪を軽く見がちで、脳震盪が起こっても症状が治まればその当日のうちに、あるいは翌日から、練習を再開するケースも多くあるようです。私は、この事、脳震盪への不十分な対応が、柔道において脳損傷事故が多く発症する原因の一つであると思っています。

武道必修化で柔道が行われた場合、私は、それが機序となるセカンドインパクトシンドロームが通常の学校生活の場で発症するのでないかと恐れています。
例えば、柔道の授業で頭部に脳震盪を伴うような衝撃を受けた後、通常の学校生活の中で2度目の衝撃を頭部に受けた場合です。

柔道の授業で頭部に衝撃を受け脳震盪を起こした後、別の体育の授業や参加している部活動において2度目の衝撃を頭部に受けた場合、セカンドインパクトシンドロームが発症する事は十分考えられます。
もっと極端な例を言えば、1度目の衝撃の後に、廊下や教室で生徒同士が頭をぶつけ合うような事でも発症するかもしれません。
そして、このようなケースで事故が起こった場合、柔道での頭部衝撃が発生機序であるという関連づけがどこまでされるのだろうかと思います。

逆のケースも考えられます。
通常の体育の授業や部活動中に頭部に衝撃を受け脳震盪を起こし、その後短期間の内に柔道の授業で2度目の衝撃を頭部に受けるケースです。
セカンドインパクトシンドロームは、脳震盪の損傷程度を問いません。
1度目が軽い脳震盪であったとしても発症する事があります。

柔道だけに限ったことではありませんが、授業であっても部活動であっても脳震盪をおこした場合、相当の期間、体育の授業を休ませる事、あるいは個人が参加している部活動を休ませ、医師の診断を経てから運動に復帰させる事など、学校内での脳震盪への対応策を十分に考える必要があります。
学校における脳震盪からの復帰マニュアルなどが徹底される必要を強く感じます。

武道を必修化するのであれば、このようなリスクが通常よりも高まることを想定しなければいけません。このようなケースにまで踏み込んだ安全対策が必要です。

教育理念よりも何よりも、優先されるべきは子どもの命であるはずです。

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【2011/02/24 14:00】 | 武道必修化
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来週の金曜日(3月4日)の16:52から、テレビ東京の報道番組「NEWS FiNE」にて柔道事故のニュースが取り上げられる事になりました。
スタジオとVTRで約10分の特集だそうです。
妹にも取材が入りましたので、我が家の件についても取り上げられる予定です。

テレビ東京の系列局では全国で放送されるようです。
関西だとテレビ大阪、滋賀ではびわこ放送で放送されます。

追記
当初、2月25日の金曜日の放送とお伝えしていましたが、ニュージーランドで起こった大地震の被災状況の報道のため、来週の金曜日に延期になりました。

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【2011/02/23 10:13】 | マスコミによる報道
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このようなブログや全国柔道事故被害者の会の活動をしていると武道の必修化についての意見をよく求められます。

大方の方は、私達が武道の必修化について反対なのだと思われているようです。あるいは、柔道そのものについて否定的だと思われているようです。

武道の必修化については、私個人は、実に単純明快な答えしか持ち合わせていません。
子どもの安全が担保できるのであれば、体育の授業に取り入れても良いと思っています。
実際、私も中学の頃には柔道を、高校では剣道を体育の授業で習いました。
体育の授業でこれら武道を教えることについて、個人的には否定的なイメージはありません。もちろん、柔道そのものについて否定的でもありません。

ただし、授業で武道を教えるのであれば、前述の通り、子どもの安全が担保できるのであれば、という大きな前提条件がつきます。

そして、残念ですが現状では、この前提条件はクリアできていないと思っています。
指導者の質の問題、安全対策の問題、どれを考えても準備不足です。
そして、更に問題だと思っているのは、これほどの事故が起こっているにも関わらず、柔道の授業において重要な役割を担うはずの全柔連の認識が甘い事です。

全柔連の教育普及委員会委員である田中裕之氏(東京都八王子市立打越中学校校長)は、2010年11月18日付の中日新聞で次のように発言をされています。
「亡くなるケースのほとんどは部活動中の事故。授業に柔道を取り入れている学校で、死亡事故はない」
また、昨年の6月に立ち上がった全柔連の安全指導プロジェクト特別委員会委員長である佐藤幸夫氏は、読売テレビのニュース報道において、
「事故の大半は部活動中に起こっている。必修化で授業が行われるからといって事故が増えると心配するのは、どうかと思う」
という発言をされています。

あまりにも甘い認識です。

これほどの多くの死亡事故、重大事故が起こりながら、全柔連はまだその程度の認識しかしていないのかと思うと、愕然とするとともに、本当に恐ろしくなります。

このブログで再三とりあげさせていただいている愛知教育大学の内田先生の柔道事故の資料を分析すると、1983年から2009年度までの27年間での学校柔道での死亡事故(110件)のうち全体の約12%が授業中に発生しています。
そして、更に恐ろしい事に、1983年から2008年度までの26年間で起こった後遺症が残り障害者となった重大事故(261件)では、実に全体の約30%が授業中に起こっているのです。

授業で死亡事故はないというのは明らかな誤りであり、授業で事故が起こらないというのも誤りです。
必修化によって柔道を習う生徒が増えれば、当然ですが、さらに事故数が増える事が予測されます。

この国では、柔道事故の実態すらまだ掴みきれていません。
愛知教育大学の内田先生の資料は、学校活動における事故数を調査されたものであり、民間の柔道教室やスポーツ少年団での事故数は含まれていません。
そして、全柔連も文科省も柔道事故で何人の子供が死んでいるのか、その実数すら掌握しきれていないのが現状です。
実態を掴み、事故原因を調査・分析し、安全対策を練る。この事から始めなければいけません。

武道必修化が決まった当時には、柔道でこれほどの死亡者が出ている事も、多くの障害者が出ていることも知られていなかった。それは事実でしょう。
しかし、柔道による重大事故の多さがデータとして提示され、更にそれに対して有効な安全対策が作成されず、指導者の育成がされないまま、更に柔道を教える側の認識の低さがある現状で、必修として柔道を教えることは、あまりにも危険であると思います。

今、安全への対策が不十分なままで、子どもの命を危険にさらしてまで強行に押し進めるべきではありません。
勇気を持って導入を遅らせるという決断も必要であると思います。


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【2011/02/22 11:04】 | 武道必修化
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昨年の11月に発生した大阪市此花区の柔道教室で小学校一年の男児が柔道の練習中に死亡した事件で大阪府警は9日、整骨院の元院長ら2人を業務上過失致死の疑いで書類送検したと発表しました。

事故発生からわずか3ヶ月での書類送検は、柔道事故としては異例とも言えるスピードです。
また、朝日新聞によれば、この事件では大阪府警が検察に起訴を求める「厳重処分」の意見をつけて送検をしたという事です。
昨日も記載した柔道事故への関心の高まりは、今までおざなりにされていた指導者の責任を追求するという環境も整へつつあるように感じます。
子供の命を無謀な指導で奪った指導者の罪は、司法の場に置いて正しく裁かれるべきだと思います。

以下、複数の新聞記事より引用いたします。

■朝日新聞
柔道指導者ら2人書類送検 通い始めて3カ月の小1死亡
大阪市此花区の整骨院内の柔道教室で昨年11月、同市立伝法(でんぽう)小学校1年の宮本真那斗(まなと)君(当時6)が練習中に意識不明になり死亡する事故があり、大阪府警は9日、整骨院の元院長ら2人を業務上過失致死の疑いで書類送検し、発表した。
 書類送検されたのは、阪本剛元院長(35)=同区伝法6丁目=と、山崎裕幸経営者(37)=同区酉島3丁目。
 捜査1課によると、阪本元院長らは昨年11月10日夕、約20分間にわたって初心者の宮本君に立ち技をかけ続け、1週間後、頭を強く揺さぶられたことなどによる脳腫脹(しゅちょう)で死亡させた疑いがある。同課は、宮本君が教室に通い始めて3カ月で受け身が十分にできないことを2人が知りながら、繰り返し技をかけた過失は重いとして、起訴を求める「厳重処分」の意見をつけた。
 同課によると、当時直接指導していた阪本元院長は「受け身の練習ばかりだと子どもが飽きて辞めてしまうと思った」と供述し、山崎経営者は「技をかけ続ける練習はまだ早いと思ったが、了承してしまった」としているという。
 柔道教室は整骨院の一部を使って昨年8月に開設されたばかりだった。教室のチラシには、阪本元院長を「柔道4段」「インターハイベスト8」と紹介していたが、実際には初段で大会の成績も偽りだったという。
 宮本君の母親は朝日新聞の取材に「息子は誕生日が先にきた友だちをみて、自分も早く7歳になりたいと話していた。今もランドセルや靴、おもちゃなどを片づけられず、心に大きな穴が開いている」と話した。
 伝法小学校の関係者は宮本君について「非常に明るく元気で、勉強も運動もできたクラスの中心人物だった。本当に残念だ」と話した。死亡した4日後には、「学習発表会」の劇で主役級の役が決まっていたという。



■産經新聞
柔道で小1男児死亡、業務上過失致死容疑で指導者らを書類送検 大阪府警
 大阪市此花区の整骨院で昨年11月、柔道の練習中に同区の小学1年の男児=当時(6)=が意識を失い死亡した事故で、大阪府警捜査1課と此花署は9日、業務上過失致死容疑で、整骨院を経営する柔道教室の管理者(37)と、元診療助手で柔道の指導者(35)=いずれも同市此花区=の男性2人を書類送検した。
 送検容疑は、昨年11月10日午後5時20分ごろ、同区の整骨院1階の簡易道場で、柔道経験約3カ月の男児に十分に受け身の指導をしないまま、繰り返し足払いなどの立ち技をかけて畳に投げ付け、同17日に左硬膜下血腫による脳腫脹(しゅちょう)で死亡させたとしている。
 捜査1課によると、2人は「受け身の練習ばかりだと飽きると思い、十分な指導をしなかった」などと容疑を認めているという。
 同課によると、男児を畳に投げ付けた際、指導者が柔道着を強く引いたため、脳に衝撃がかかり、脳内の静脈が切れたという。男児が受け身を取ることができれば、脳への衝撃は緩和できたとみられ、同課は受け身の指導不足が死亡につながったと判断した。
 同課によると、柔道教室の生徒募集のチラシには、実際は初段だった指導者を「4段」と紹介するなど、うその記載もあった。

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【2011/02/09 22:26】 | 柔道事故
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1月のシンポジウム以降、関西では毎日放送、読売テレビとたて続けに柔道事故の特集報道がされました。

■読売テレビ
「かんさい情報ネット ten!」(2011年1月27日)

フランスの柔道連盟にまで取材をされ、フランスと日本の柔道指導の違いを解りやすく説明されたた非常に素晴らしい内容です。
我が家のケースも取り上げていただきました。
放送内用は、以下のサイトで視聴できますので、是非ご覧ください。
http://www.ytv.co.jp/ten/sp/bn/1101/asx/sp110127.asx

■毎日放送
「VOICE」(2011年2月1日放送)

全国柔道事故被害者の会の会員で、現在、提訴をされている大阪の高瀬さんの柔道事故を詳細に報道され、大阪でのシンポジウム内容にも触れた内容です。
以下で放送内容の概要が解りますので、こちらも是非ご覧ください。
http://www.mbs.jp/voice/special/201102/01_21.shtml

■TBS
「NEWS23」

また、毎日放送で放映された内容が、急遽本日のTBSのNEWS23で取り上げられることになりました。
大阪でのシンポジウムの内容も放送されます。

昨年の被害者の会の立ち上げ以降、柔道事故への関心が急速に高まっていることを感じます。
柔道事故の多くは防ぐ事が可能な事故です。
同じ過ちを繰り返さない、そのためには何をすべきなのか、多くの皆さんに考えていただける契機になる事を願っています。
ぜひご覧ください。

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【2011/02/08 20:25】 | マスコミによる報道
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