2009年7月29日滋賀県秦荘中学校の柔道部で顧問に投げられた直後に意識不明になり、約1ヶ月後に急性硬膜下血腫で死亡した村川康嗣(当時12歳)の柔道事故の真実を明らかにし、それを多くの方に知ってもらうためのブログです。
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全柔連が柔道の指導者に資格制度を導入するという事は、以前にもこのブログで記載をさせていただきました。

全柔連のWEBサイトに「公認指導者資格制度」についての案内が2011年9月22日付けにて掲載されました。
http://www.judo.or.jp/article-reader/internal-1.0.php?id=1708-shidousyashikaku20110913

ここに、現在柔道を指導している方について、このようなQ&Aが掲載されています。

Q1 現在、現場で指導している人はどうなりますか?
 移行措置として都道府県からの推薦をもとに暫定的に指導員に認定します。定められた期間に講習会を受講して正式資格を取得してください。また,大会出場の制限も当分は緩める予定です。



2013年以降については、30時間~40時間の講習を受け、さらに試験を受けて合格した者についてのみ、資格が付与されるのだそうですが、現在柔道の指導をしている方には、移行期間に講習を受けることで資格を付与されるのだそうです。

そして、この移行期間に行われる講習とは、1時間半の講習と1時間半の実技だけなのだそうです。
これさえ受ければ、現在柔道を指導されている方については、全柔連の「公認指導者資格制度」が付与されるという事になります。

大丈夫でしょうか?

今まで、柔道で命を失うような大きな事故が起こってきたのは、従来の指導方法に問題があったからです。また、指導者の方に安全への専門的な知識が普及していなかったからです。
この問題を正す必要があったから、資格制度が導入されたはずです。

本来なら、従来の指導者の方にこそ、より正しい知識が必要とされるのではないでしょうか。
実技を含めた3時間の講習で、試験もされずに、それらが身に付くものなのか、私は疑問を感じます。

また、私は、このような簡単な形で資格が付与される指導者の方も不幸だと思います。

柔道事故の裁判において、事故を起こした指導者の方は、事故の予見は不可能であったと主張をされます。
昨日、記事にした松本の柔道事故でも指導者の方は同様の主張をされました。
加速損傷なる知識は一般的ではなく、したがって事故を予見することはできなかった、と主張をされたのです。
言い換えれば、事故が何故発生するかという医学的な知識は一般的ではないので、その事を知らないのは仕方が無い。したがって、その事が機序になる事故が発生したとしても、その予見はできなかった。という事になります。
多くの柔道事故では、このような無意味な主張が繰り返されてきました。

しかし、今後、「公認指導者資格制度」を付与された指導者の方は、すべからく安全への知識を身につけたとみなされることになります。
その指導者の方に、実質的な知識が有るか無いかは関係なく、資格を付与された時点で、それは有るものと見なされるのです。
加速損傷などの事故の発生機序となる医学的な知識も当然、習得されたと見なされる事になります。

今の移行措置のままでは、実質的な知識のないままに資格のみを付与される指導者の方が出てくるのではないかと危惧をします。
結果として、そのような指導者の元では、これからも不幸な事故は無くならないと思います。

松本の柔道事故裁判においては、上記の指導者の主張は、退けられました。
加速損傷の知識は一般的であり、事故の予見は可能であったとされたのです。
資格制度が導入されていない時点で既に、医学的な知識を含む安全知識は一般的である、とされているのですから、資格制度が導入された以降は、もはや、指導者に医学的な知識を含む安全知識がある事は議論する余地すらない常識となります。

もし、大きな柔道事故が起こり、刑事、民事の裁判になった場合、資格を付与されている以上は、医学的な安全知識が習得されている事を前提として裁判が進むことになり、当然、責任を追及されるでしょう。
実質的な知識のない指導者の元で不幸な事故は起こりつづけ、責任を問われる指導者もまた出続けることになります。

資格は、与えれば良いというものでなく、資格を持つに値する人間に与えられなければなりません。
真剣に柔道事故をなくす事を考えるなら、資格を付与する人間にその適性があるのかないのかを、見極める必要があるように思います。
現在の指導者に、横滑りで簡単に資格を与えるのではなく、現在指導をしている人間であっても、適性を欠く人間には、資格を付与しない、という事が重要であると思います。
少なくとも、過去に重大な柔道事故を起こした指導者には資格を与えないか、与えるにしても第三者が納得のできる厳しい審査基準が必要になるでしょう。

今の移行措置は、あまりにも簡単に資格制度を考えているように思えてなりません。
今のままでは、指導をする側にとっても、指導をされる側にとっても、不幸が続くのではないかと思います。



また、上記の全柔連のページには、このようなQ&Aも掲載されています。

Q4 柔道部の顧問をしてくれと頼まれている教員です。しかし、柔道経験はなく資格をとるつもりもありません。どうすればよいですか?
 学校教員に対しては,現場の実情を考慮し。条件付きで資格を認める例外措置を準備しています。


柔道事故が多発している現場は、まぎれもなく学校です。
その学校の柔道部の顧問には、資格を認めるために、例外措置を準備するという事です。

専門的な知識のない人間に、例外措置で資格を付与することは極めて危険です。
事故を減らすどころか、事故を増やすことにさえ繋がるように思えます。
そして、たとえ例外措置で資格を取得したとしても、事故が起こった時の責任は発生します。

大丈夫でしょうか?
これで、本当に柔道事故がなくなるのでしょうか?

全柔連にお伺いしたい。
このような制度で本当に大丈夫ですか?
このような制度が、本当に柔道を良くする事に繋がるのでしょうか?


指導者の資格制度の導入には賛成ですが、今のままでは極めて杜撰であるという感想しか持ちません。
柔道による事故をなくすためには、どうすれば良いのか、資格制度の導入にあたり、今一度真剣に考える必要があります。


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【2011/09/25 11:58】 | 柔道の安全について
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このブログでも再三お伝えをしておりました長野県松本市の柔道教室事故裁判で2011年9月22日に、被害者側の主張を全面的に認める画期的な和解が成立しました。

事故は、2008年5月、長野県松本市の柔道教室で当時小学校6年だった沢田武蔵君が練習中に男性指導者から投げられて、急性硬膜下血腫を発症、現在も遷延性意識障害の状態にあるというものです。

この事故の民事提訴については1審の長野地裁松本支部が、2011年3月16日に原告側(被害者側)の主張を全面的に認め、被告側(指導者)に損害賠償金として約2億4千万円の支払いを命ずる判決を言い渡していました。

被告側(指導者)は、これを不服とし、事故は不可抗力によるものだと主張して高裁に控訴をしていましたが、2011年8月4日に開かれた控訴審において、東京高裁の市村陽典裁判長が弁論の終結を宣言し、結審した上で和解を勧告していたものです。

和解内容において被害者側は、

1.指導者が武蔵君との乱取り中に片襟体落としの投げ技によって武蔵君に急性硬膜下血腫の頭部損傷事故を発生させたと、指導と事故との因果関係を認め、これを謝罪する事。
2.今後柔道指導に際し、かかる行為を2度と繰り返さない事を誓約する事。
3.和解金ではなく、被害者への損害賠償金として支払う事。

等を、条件として出されていましたが、指導者側はこれをすべて認めた上で和解に至りました。

指導者が、自身のかけた技によって事故が発生した事を認め謝罪をした事は、指導と事故との因果関係と自身の過失を認めた事になります。
また、和解の場合は通常、和解金となるところを、被害者への損害賠償金の名目とし、さらにその損害賠償金が1審の判決、2億4千万を上回る2億8千万円で決定した事は、勝訴以上の和解内容と言えるものです。

 この和解内容は、今後、同様の裁判に非常に大きな影響を及ぼす内容となるものと思われます。

関連記事(信濃毎日新聞)
http://www.shinmai.co.jp/news/20110923/KT110922FTI090005000.html

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【2011/09/24 15:40】 | 柔道事故裁判
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全国柔道事故被害者の会の第4回目のシンポジウムが2011年11月27日(日)に東京で開催されます。

全国柔道事故被害者の会「第4回シンポジウム」
2011年11月27日(日曜日)
10時~16時半頃まで(途中休息を含みます)

全国柔道事故被害者の会の過去のシンポジウムでは、学校活動での柔道による死亡事故の発生件数と死亡率、柔道事故の大半を占める脳損傷の発生機序、脳震盪への警鐘などの医学的考察、さらには会の独自調査による海外での柔道事故の事例と海外での安全対策等について発表を行ってきました。

シンポジウムを通じて、それまで知られていなかった、他のスポーツを圧倒する死亡率や脳損傷との医学的関係などを明らかにしてきた事が、昨今の柔道事故に関するメディアの報道の情報元になっていることは、既にご承知の事かと思います。

11月のシンポジウムでは、今まで行ってきたシンポジウムの内容に加え、新しい観点から柔道事故について検証を行いたいと思います。
そのために、シンポジウムを2部構成にいたしました。

1部では、今までのシンポジウム同様に、日本における柔道事故による重大事故の発生率の高さ、重大事故の大半を占める脳損傷の医学的検証、海外事例や家族による事故事例の発表を行います。

2部では、新しい観点から、柔道事故を検証していきます。
今までのシンポジウムで、柔道事故を、社会学的、医学的に考察をしてきた事を踏まえ、次のステップとして、柔道事故を力学的に検証し、更には、柔道事故を法医学的に考察していきます。
既に、過去のシンポジウムに来られた方は2部からの参加も可能となる予定です。

これらの新しい検証や考察は、昨年の6月の日本で初めて開かれた柔道事故のシンポジウムで発表された内容と同様に、大きなインパクトを持つ内容になると思います。

現時点では、開催日と開催時間のみの決定ですが、講演内容等の詳細については、順次全国柔道事故被害者の会のWEBサイトで告知されます。

今年の11月27日、どうか今からお時間のご都合をつけていただき、多くの皆さんにご参加いただきたいと願っています。




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【2011/09/08 15:18】 | 全国柔道事故被害者の会
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