2009年7月29日滋賀県秦荘中学校の柔道部で顧問に投げられた直後に意識不明になり、約1ヶ月後に急性硬膜下血腫で死亡した村川康嗣(当時12歳)の柔道事故の真実を明らかにし、それを多くの方に知ってもらうためのブログです。
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

先日も記載した2004年の12月に発生した横浜市立奈良中学の柔道事故提訴において、昨日(2011年12月27日)、横浜地裁は横浜市と神奈川県に対し、約8920万円の支払いを命じる、原告勝訴の判決を言い渡しました。

長い間、治療やリハビリなどをされながら闘われてきた被害者と被害者のご家族のご苦労が報われる判決となった事に何よりも安堵をいたしました。

この裁判においては、被告側の教諭と横浜市、神奈川県は、練習と事故との因果関係を一切認めず、練習は適切であったと主張、さらに、頭部に挫傷や打撲の痕跡がないことを理由に「頭部の強打は認められない」とし、柔道の投げ技で頭部の静脈が切断されるのは稀なケースだとして「予見は不可能だった」と全面的に争っていました。

これ対し、判決理由では「男子生徒が硬膜下血腫などの重傷を負ったのは、教諭の掛けた技の回転力で脳の静脈が損傷した(加速損傷)が原因」と練習と事故との因果関係を明確に認定。
さらに、乱取り中に教諭の絞め技によって男子生徒が半落ち状態であった(絞め技により意識が朦朧としていたこと)をあげ、そのような状態で技を掛け続ければ、重大な傷害が発生することは十分に予見が可能であったとし、安全配慮義務を怠った、と指摘しました。

事故原因は不明であるとし、事故との因果関係自体を完全否定し、事故が予見できなかったとする被告側の主張は、全面的に退けられた判決となりました。

また、長野県松本市の柔道教室事故の民事裁判、大阪市此花区の柔道教室死亡事件の刑事裁判に続き、頭部を強打しなくても、また、頭部に明らかな外傷がなくても、柔道の投げ技による回転加速力で橋静脈が破断する加速損傷が事故の原因であると明確に認定された判決となりました。

事故原因が加速損傷である事を明確に認定した判決が、これで民事で2例、刑事で1例となった事で、もはや「頭を打っていないので柔道とは関係がない」、「引き手をひいて頭を打たないようにしていたので柔道とは関係ない」、「頭部に外傷がないので柔道とは関係がない」などとする指導者、加害者の非科学的な主張は、今後とも完全に否定される事になると思われます。

また今回の判決で、絞め技をした直後に乱取りを継続する危険性について指摘した事は、今後の柔道事故裁判だけでなく柔道の安全対策にも大きな影響を与えると思います。

被告の教諭、横浜市、神奈川県は今回の判決を厳粛に受け止めるべきなのは勿論ですが、まず判決内容をよく理解するべきだと思います。
因果関係を全面的に否定することで争いながら、事故と練習との因果関係が明確に認定された事、急性硬膜下血腫の原因が柔道技によって発症した加速損傷であると認定された事、さらに、同様の判例が民事、刑事と続いている事、これらの事を考え合わせれば、被告側の主張がいかに真実と離反していたかは明確です。
判決を真摯に受け止め、反省をし、同じ事故を起こさないための安全対策を取る事が、何よりも優先されるべき事柄であり、控訴によって、いたずらに時間をかけるべきではないと思います。

判決内容を電話で伝え聞いた被害者の男性は「これで先生は謝ってくれるのかな」と話したという事です。
この言葉も、被告側は真摯に受け止めて欲しいと思います。

判決後の記者会見において、原告のご両親が、教育委員会が事故と柔道練習との因果関係を認めず、脳損傷の原因は登校中に電信柱にでも当たったからではないか、と言った事を話されました。

事故原因を真摯に究明しようとせず、ただ責任回避のために、被害者を傷つけるこのような発言が、多くの柔道事故の現場で平気でされてきました。
我が家の事故でも、同じような事を、学校や教育委員会の関係者が発言しました。

事故原因から目を背け、事故原因を真摯に究明しようとしなかった、このような姿勢が、結果として毎年4人以上の子供が学校の柔道で死亡する事に繋がっていったのです。

安全であるべき学校において、真摯に事故と向き合わず、何の根拠も無い非科学的な論理を振りかざし、ただただ責任を回避するという姿勢が、何の安全対策もとられない現状へと繋がって行ったのです。

今回の判決は、今後の柔道事故裁判だけでなく、柔道の安全そのもの、柔道による重大事故の防止の意味においても、非常に大きな意味のある判決であったと思います。


以下、今回の判決の報道記事へのリンクを掲載します。
(リンク先は2011年12月28日現在のものです。期間がすぎると非表示になるものもありますのでご注意ください)

■フジテレビ(動画配信)

■テレビ朝日(動画配信)

■NHK

■朝日新聞(2011年12月28日)
■朝日新聞(2011年12月27日)

■毎日新聞(2011年12月28日)

■東京新聞(2011年12月28日)

■神奈川新聞(2011年12月28日)

■読売新聞(2011年12月28日)
■読売新聞(2011年12月27日)

■日経新聞(2011年12月27日)

■産経新聞(2011年12月27日)

■時事通信(2011年12月27日)

■共同通信(2011年12月27日)




関連記事
スポンサーサイト

FC2blog テーマ:気になる教育行政 - ジャンル:学校・教育

【2011/12/28 00:29】 | 柔道事故裁判
トラックバック(0) |
昨日、記載をした千葉県で起こった柔道授業での体罰について、記載します。

この体罰は、毎日新聞の報道によれば、以下のようなことであったそうです。
記事を抜粋引用いたします。

県教委:柔道技体罰教諭を減給 /千葉
 県教育委員会は21日、体育の授業時間中に、男子生徒を平手でたたき、柔道の体落としなどの体罰を加え、左腕骨折など全治3カ月の重傷を負わせたとして、県東部の県立高校男性教諭(53)を同日付で減給10分の1(1カ月)の懲戒処分にすると発表した。
 県教委によると男性教諭は体育の授業で、柔道を指導中の10月20日午前11時半ごろ、友人とふざけていたとして、1年の男子生徒(16)の左右の頬を計3回平手打ちしたうえ、体落としで2回投げ落とした。男性教諭は「指導に従わず、ついかっとなった」と話しているという。
(引用ここまで:2011年12月22日 毎日新聞千葉版より)

記事によると、この教師は柔道技を使って体罰を行った事が書かれています。
それも体落しという加速損傷の発生しやすい技で2度も投げたとあります。

この教師が柔道の有段者であったのかどうかは解りませんが、少なくとも、一時的な感情で生徒に対して危険な柔道技を使用して体罰を行うなど言語道断であり、教員としての資質に欠けると言わざるを得ません。

ご存知の方も多いと思いますが、日本では学校教育法の第11条において、懲戒として体罰を加えることが禁止されています。この学校教育法の規定に背いても罰則はありませんが、当然ですが、体罰の内容によっては、一般の刑事事件と同様に、暴行罪や傷害罪、傷害致死罪が成立します。
この千葉県のケースは、生徒が骨折をしている事を考えれば、傷害事件として送検されてもおかしくない内容であると思います。
場合によってはもっと重い障害を負ったことも十分に考えられ、この教員の行った刑事事件に匹敵する行為に対して、この程度の処分で果たして良いものか、私は疑問を感じます。

日本の学校現場では、総じて体罰を見過ごす風潮があるように思います。
秦荘中の柔道部でも、顧問により平手打ちなどの体罰は日常化していましたが、その事実を知りながら、学校長も他の教員も問題にしませんでした。
体罰とは教員の生徒に対する暴行であり、その暴行に対して、それを許すという教育現場の甘さがある以上、日本では体罰が減る事はないでしょう。

この千葉のケースは、たまたま報道された氷山の一角でしかありません。

武道必修化についての問題点は先日も記載した通りですが、このような教員が武道を教える事も、また大きな問題となります。
武道必修化が武道の精神性を重んじる事を考えれば、武道を体罰に使うなどという教員が武道を教えることは、武道必修化の本来の目的から外れることでしかありません。



FC2blog テーマ:気になる教育行政 - ジャンル:学校・教育

【2011/12/23 01:05】 | 武道必修化
トラックバック(0) |
本日の毎日新聞朝刊の9面(オピニオン欄)に「柔道指導の安全対策確立を」と題した記事を掲載していただきました。

http://mainichi.jp/select/opinion/iitai/news/20111222ddm004070004000c.html

先日も記載をしましたが、柔道事故に関する報道の数が増えてきています。
すべてをご紹介できるかどうか解りませんが、極力ご紹介していきたいと思います。


また、同じ毎日新聞で、本日以下の報道がされていました。
柔道技体罰教諭を減給(千葉)
体育柔道での出来事だそうです。こちらの記事については、後日改めて記載をしたいと思います。

(リンク先は、ともに一定期間が過ぎると非表示になる可能性がありますので、お早めにご覧ください)

FC2blog テーマ:気になる教育行政 - ジャンル:学校・教育

【2011/12/22 17:07】 | マスコミによる報道
トラックバック(0) |
来週の27日(2011年12月27日)に横浜地裁にて、横浜市立奈良中学柔道部で発生した事故の民事提訴の判決が出されます。

事故は、2004年12月24日に発生しました。
当時、15歳だった中学三年生の男子生徒が柔道部の顧問により暴行と呼ばれてもおかしくない「指導」を受け、急性硬膜下血腫を発症したものです。緊急手術の後、奇跡的に一命はとりとめられましたが、非常に重篤な高次脳機能障害に陥り、現在も重い後遺症に苦しまれています。

事故後、指導者は2007年7月2日に傷害容疑で書類送検をされていましたが、横浜地裁は2009年10月27日に嫌疑不十分として不起訴処分としました。

ご両親は、横浜第一検察審査会に不服の申し立てをし、2009年12月2日には検察審査会が「傷害罪での立件は困難だが、業務上過失致傷罪が成立する」として不起訴不当を議決していました。

しかし、横浜地検は2009年12月17日に再び不起訴としました。
業務上過失致傷罪の公訴時効が5年であり、この不起訴処分の1週間後に公訴時効を迎えることから、再度の検察審査会への申し立てができず、この不起訴が確定し刑事事件としては立件できませんでした。

「もし」という言葉を使うことができるなら、
もし、公訴時効までにもう少し時間があれば、この事件は、再度の検査審査会を通して再び、不起訴不当の議決が出ていたと思います。
そうなれば、柔道事故で初めての強制起訴となった事案であると思っています。

刑事での立件起訴は残念ながらなりませんでしたが、柔道事故に対する認識が変わってきている今、来る27日には正しい判決が出され、柔道事故撲滅のための大きな前進となることを期待しています。

日時:12月27日(火)13時10分~
場所:横浜地裁 503号法廷


この事故については、インターネットニュースサイト「JANJAN Blog」の以下の記事に詳細に記載があります。
ご覧下さい。


奈良中学校柔道部顧問による暴行事件ー12月27日地裁判決へ

奈良中学校柔道部顧問による暴行事件ー判決を前に


FC2blog テーマ:気になる教育行政 - ジャンル:学校・教育

【2011/12/22 12:10】 | 柔道事故裁判
トラックバック(0) |
2012年12月16日、衆議院第2議員会館で民主党の国会議員の主催によって開催された「学校における柔道事故に関する勉強会」についての4回目の記載です。

先日、記載した柔道事故被害者の会に寄せられた武道必修化への不安意見として、

「セカンドインパクトシンドロームについて
例えば柔道の授業で脳震盪を起こした後に、部活や学校生活で二度目の頭をぶつけるような事があれば発症するのではないかと心配します。その逆のケースもあるかもしれません。脳震盪を起こした生徒への対応がマニュアル化されないと非常に危険だと思います」


「中1くらいだと身体の大きな生徒と小さな生徒の体格差が激しいと思います。体格差のある相手と柔道の練習をさせることに不安があります」

という事が上げられていました。

セカンドインパクトシンドロームが武道必修化の導入で発生しやすくなるのではないかという危惧は、以前このブログでも記載をしました。
これを防ぐには、何より脳震盪に対するケアが万全でなければなりません。

また、練習相手との体格差の問題は、小さな事に思えるかもしれませんが、骨折や脳損傷を含め、大きな事故になる危険性を秘めている非常に危険度の高い事だと思っています。

勉強会では、柔道事故被害者の会から、以下のような武道必修化のへの提言を行いました。

1.「柔道経験者が相手に怪我をさせたら、全面的に経験者の責任である」事をしっかり認識させる。
2.体重差のある者同士の組み合せは厳禁。
3.中学1年・高校1年に事故が多いので、特に注意。
4.たとえ50分の授業でも、途中で必ず水分補給を行う。(熱中症の問題だけでなく、水分不足になると脳が委縮し、急性硬膜下血腫を発症しやすいからです)
5.頭をぶつけたり、脳震盪を起こしたら、ただちに練習を中止させ、さらに最低1週間は練習を中止。
6.意識があっても、ふらついていたら脳震盪の可能性があるので、必ず専門医の診断を受けさせる。

特に、脳震盪からの復帰については、至急に検討をし、すべての学校に通達をすべき最優先事項であると思います。
現在の柔道の指導現場で脳震盪の対策が遅れていることは、全柔連も認めている通りであり、これが学校現場であれば更に遅れているのではないかと思います。

短期間のうちに脳震盪を起こすような頭部への衝撃を2度受けることで、致死率が50%を超す脳損傷が起こる事をセカンドインパクトシンドロームといいますが、この発生を未然に防ぐには、何よりも脳震盪に対しての対策をとることです。

柔道の授業中に脳震盪を起こした場合は勿論、それ以外で脳震盪を起こした場合も、十分に注意が必要です。これは、学校活動全般の事として考えられる必要があると思います。
学内生活でも部活でも、あるいは日常生活でも、脳震盪を起こした生徒については一定期間、すべての運動を禁止させる。種目を問わず、運動の練習の前には、近日内に頭を打ったものがいないかを確認する慎重さが求められます。
そして、一日も早く、明確な脳震盪からの復帰マニュアルを国として完備し、すべての学校に通達をすべきだと思います。


勉強会の最後に、主催をされた中根議員からは「安全対策が万全になるまで、武道の必修化を延期してはどうか?」という発言がありました。
また、この問題を真摯に受け止め、継続して勉強会が開かれることも確認されました。

文科省も全柔連も、安全対策に乗り出していることは事実ですが、それが来年の4月までに間に合うとは、個人的には到底思えません。
未経験の教員への対応一つとっても、あきらかに無理があり、このままで安全な武道指導ができる訳が無いと思っています。

今のままでは、極めて危険です。
部活動では事故が多いが、授業では起こっていないというのは幻想です。
授業でも死亡事故が起こり、障害事故が多発しています。
最新の研究データで、重大事故に直結する頭部や頸部への損傷は、授業で発生するほうが部活動で発生するよりも2.4倍も多い事がわかりました。

たとえ導入が決定していたとしても、安全性が確保されないままでは、導入を延期するという英断が必要です。

FC2blog テーマ:気になる教育行政 - ジャンル:学校・教育

【2011/12/20 09:12】 | 武道必修化
トラックバック(0) |
2012年12月16日、衆議院第2議員会館で民主党の国会議員の主催によって開催された「学校における柔道事故に関する勉強会」についての3回目の記載です。

勉強会の後半は、質疑応答でした。
質疑応答では、被害者の会から発表した「武道必修化の不安意見」が取り上げられました。

この「武道必修化の不安意見」は、全国柔道事故被害者の会が行ってきたシンポジウムでのアンケートやメールで寄せられた武道必修化に対する意見を集約したものです。
勉強会で発表した中から、いくつかをご紹介します。

『必修化では10時間程の授業で最後は体落しや大外刈りによる試合形式の練習がされると聞いていますが、シンポジウムでは体落しや大外刈りが加速損傷を起こしやすいというお話でした。
部活などでは、初心者には受身だけを数週間かけて教えます。それをわずか10時間で加速損傷がおきやすい技まで習得させて、試合形式の練習をさせることは危険ではないでしょうか?』


『先日テレビで柔道経験のない体育教師に柔道の研修会が開かれて愛知県では4日間の講習で黒帯(初段)が授与されているというニュースがありましたが、この程度の研修で生徒を安全に指導できるとは思えません』

『未経験者の先生が柔道を教えられるのでしょうか?』

『セカンドインパクトシンドロームについて
例えば柔道の授業で脳震盪を起こした後に、部活や学校生活で二度目の頭をぶつけるような事があれば発症するのではないかと心配します。脳震盪を起こした生徒への対応がマニュアル化されないと非常に危険だと思います』


『中1くらいだと身体の大きな生徒と小さな生徒の体格差が激しいと思います。体格差のある相手と柔道の練習をさせることに不安があります』

『授業なら骨折などの事故が発生しただけでも大問題であるが、骨折程度は仕方がないと思っているのではないだろうか? 』

『導入後に捻挫や脱臼程度の怪我であっても、全国でどのような事故が発生したかの統計データを取る必要があるのではないか?』

質疑応答で、中根議員から、10時間程度で体落しや大外刈りまで教えるというカリキュラムの問題をとりあげ、文科省の担当者に質問がありました。
柔道を始めて10時間という時間は、本来ならすべて受身の指導だけに費やされ、それでも足りない時間です。しかし、その中で上記の技を教え、試合形式の練習(=乱取り)を行うという事が事実かどうかという確認でした。

文科省の担当者からは、
「カリキュラムとして大外刈りや体落しが、一年間の授業で教える技に列挙されている事は事実であるが、個に応じて段階的に教えるよう調査官から全国の指導主事に伝えているところであり、必ずしも、これらの技を生徒に教えなければならないという訳ではない」
という回答がされました。

中根議員からは、カリュキラムとしてこれらの技を教えること自体をやめるという選択肢も有るのではないかという意見がだされました。

私は、文科省のご担当者の回答を聞いて、安堵する部分と不安に思う部分がありました。

まず、「個に応じて段階的に教えるよう調査官から全国の指導主事に伝えている」という事について安心をいたしました。
これが、本当に正しく全国の指導者に伝わり、無理のない指導が行われれば、必修化の授業での事故の可能性は減るであろうと思いました。

ただ、前述の通り、本来10時間程度の時間であれば、すべてを受身の練習に費やしても良い時間であり、個に応じて段階的に指導をするにしても、まったくの初心者に対しては、準備運動と*危険性の低い種類の受身を教えるだけで10時間が経過すると思います。

私はそれでも十分に武道教育であると思いますが、教育の現場では、恐らくそうならないのではないかと危惧をします。
多少の無理をしてでも、投げ技を指導する所までいくのではないかと不安を感じます。

また、個に応じて段階的に指導をするという事ですが、「個に応じて」の部分を判断するのは現場の体育教員になります。
体育教員が正しく、個に応じた段階的な練習をさせなければなりません。

不安意見の中に、

『先日テレビで柔道経験のない体育教師に柔道の研修会が開かれて愛知県では4日間の講習で黒帯(初段)が授与されているというニュースがありましたが、この程度の研修で生徒を安全に指導できるとは思えません』

『未経験者の先生が柔道を教えられるのでしょうか?』

という意見がありました。
わずか数日の研修だけで、はたして柔道未経験の教員が、ただしく個に応じた指導ができるでしょうか?
その見極めが出来るのでしょうか?

上の意見では愛知県の4日間の研修の例が出されていますが、先日当ブログでも記載した通り、文科省の国庫補助事業として行われている「地域社会武道指導者研修会」では、わずか2日間だけしか研修が行われません。
柔道未経験の教員の方に、2日間だけ柔道を教え、それで授業の指導にあたらせる事になります。

はたして、2日間しか柔道の研修を受けない教員の方に、正しく、個に応じた指導が可能でしょうか?
その判断ができるのでしょうか?

個に応じて指導をするというのは正しい判断であり、そうあるべきだと思いますが、果たしてこの通達通りの無理の無い指導がされるのか、また、柔道未経験の教員の方が「個に応じた」指導ができるのか、多いに疑問と不安を感じます。


さらに、この事を突き詰めて行くと、武道教育を導入する根本的な問題にいきあたります。

文科省のWEBサイトには武道必修化についてこのような記載がされています。

『武道は、武技、武術などから発生した我が国固有の文化であり、相手の動きに応じて、基本動作や基本となる技を身に付け、相手を攻撃したり相手の技を防御したりすることによって、勝敗を競い合う楽しさや喜びを味わうことができる運動です。
また、武道に積極的に取り組むことを通して、武道の伝統的な考え方を理解し、相手を尊重して練習や試合ができるようにすることを重視する運動です』


これらを習得させる事が武道を必修化する本来の目的であるなら、わずか2日間の研修だけで、上の目的が達成されるでしょうか?
わずか2日間の研修で、理念も含めて武道の何たるかを体得し、それを生徒に指導できるでしょうか?

私は、わずか2日間の研修では、受身すらも正しく指導できないと思います。
余談ですが、前述の部分で太字で「危険性の低い種類の受身」と記載をしたのは、受身の練習でも死亡事故は発生してるからです。
受身が大事、受身をしっかり指導しなければならない、と言われますが、受身も過度に練習をさせたり、間違った練習をさせれば、あるいは初心者に頭を打ちやすい受身を練習させれば、それだけで重大な事故が起こる事がわかっています。

未経験の教員に付け焼き刃で武道を指導させること、それは、武道必修化の本来の目的から逸脱する事にしか思えません。



次回、勉強会の関連記事の最後として、不安意見として出されたセカンドインパクトシンドロームと体格差のある相手との練習について触れ、全国柔道事故被害者の会が勉強会で提言した安全対策を記載します。




FC2blog テーマ:気になる教育行政 - ジャンル:学校・教育

【2011/12/19 01:35】 | 武道必修化
トラックバック(0) |
2012年12月16日、衆議院第2議員会館で民主党の国会議員の主催によって開催された「学校における柔道事故に関する勉強会」についての2回目の記載です。
初回記事については、こちらを参照ください。(記事を更新しておりますので、以前ご覧いただいた方も再読いただけますと幸いです)

今回は、勉強会で発表をした内容から「全柔連の資格制度の問題点」について詳しく記載をしたいと思います。

全柔連は、今年の4月の理事会で平成25年度(2013年)から柔道の指導者に「全柔連公認指導者資格制度」を開始することを決定されました。
詳細は以下のリンクをご確認ください。
http://www.judo.or.jp/article-reader/internal-1.0.php?id=1708-shidousyashikaku20110913

この資格制度が導入されれば、新たに柔道の指導者になる者は、30時間から40時間の講習を受けて、更に試験を受けて合格しなければ指導者としての資格が取得できない事になっています。

ただ、上記の全柔連のサイトを見ると、この資格制度自体が試合での監督資格の意味合いが強く出ているように読み取れ、どこまで柔道の指導そのものに対する資格であるのかが明確ではありません。
また、30時間から40時間とされる講習内容についても現時点で明確に掌握をしていませんので、それが、果たして本当に柔道の安全指導につながるものかどうかも不明ではあります。

また、この資格制度には、大きな問題点も含まれています。

■現行の指導者の移行措置の問題
この資格制度では、現在柔道の指導をしている指導者に対しては、移行措置として、1時間半の講習と1時間半の実技というわずか3時間の研修を受ける事で資格が認められる事になっています。

今までの指導者の指導方法に問題があったからこそ、多くの子供達が柔道で命を落としているのです。
今までの指導者の方にこそ、厳格な資格認定が必要であるはずです。
にもかかわらず、わずか3時間で資格を認定するというのは、あまりにも杜撰であると言わざるをえません。


■学校現場での指導者の問題
また、この資格制度が、そのまま学校現場で柔道を指導する教員に適用されるものではありません。
上記の全柔連のWEBサイトにはこの資格制度について、以下のような記述が掲載されています。

*学校課外活動の顧問等については,それぞれの実情を考慮し,別に例外措置を講ずる場合がある
*学校教員に対しては,現場の実情を考慮し。条件付きで資格を認める例外措置を準備しています。

この表現を見ると全柔連が学校の教員に対して特例措置を講じて資格を認める、と読み取れますが、そもそも全柔連とは、日本における柔道競技を統括する団体であり、文部科学省スポーツ青少年局競技スポーツ課所管の財団法人です。
競技団体が学校教員の資格に対して何らかの制約や規制をかけることはできません。

したがって、上記のような全柔連のサイトの表現自体が適切であるのかどうかが甚だ疑問であり、本来的にこの全柔連の資格制度は学校教員に対して制約力があるものではありません。
全柔連のサイトに記載された学校教員へのエクスキューズは、おそらく試合での監督資格に関しての内容ではないかと推測します。


全柔連が資格制度を導入する聞くと、すべての柔道の指導現場でその資格認定者が指導をするというイメージを持ちますが、決してそうではありません。

最も多くの柔道事故が起こっている学校管理下では、これまでと同様に厳密な意味での指導者資格が導入されないまま、柔道の指導がされることになります。
事故の大半が学校管理下で起こっている事を考えれば、学校柔道の指導者にこそより厳格な資格制度が必要となるはずです。

その資格制度を全柔連が発行できない以上、国として指導者の育成を厳密に行うか、保健体育の教員に対して制約をかける必要があるのではないかと思います。
最終的には、フランスのように国家資格のようなものが必要になのかもしれません。


指導者の資格制度の導入、これは被害者の会が再三にわたり求め訴えてきた者です。
それに対して、全柔連もその必要性を認め、導入に踏み切られたことは、歓迎すべきことであると思っています。
しかし、その内容が現実に即したものでなければ、資格制度は絵に描いた餅になります。
さらに、学校現場での指導方法や安全対策に対して、明確で有効な方針が示されないままでは、学校管理下での事故は減りません。


次回、この指導者の資格とも関係する内容で、勉強会での質疑応答で出た問題点を中心に、記載をしいてきます。

FC2blog テーマ:気になる教育行政 - ジャンル:学校・教育

【2011/12/18 13:01】 | 武道必修化
トラックバック(0) |
2011年12月16日、衆議院第2議員会館にて民主党の中根議員、初鹿議員によって主催された「学校における柔道事故に関する勉強会」が開催され、参加をしてきました。

記載したい事が多くありますので、関連記事を4回にわけて掲載させていただきます。今回は、勉強会の概要についてのみ記載をさせていただきます。

全国柔道事故被害者の会からは、6家族8名が参加し、勉強会に参加いただいた議員、資料を持ち帰られた議員、秘書の方を含め15名以上の国会議員の方に、柔道事故の現状と問題点、事故撲滅への提言をお伝えすることができました。
国会議員の他に、文科省の武道必修化の担当者、30名を超すマスコミの方々もご出席をされ、非常に大きな成果のあった勉強会であったと思います。

勉強会では、冒頭に被害者の会の4家族より自分たちの子供が被害にあった状況を報告しました。
シンポジウムでは、主に柔道で発生する脳損傷(=急性硬膜下血腫)について警鐘を鳴らしてきましたが、今回の被害報告は学校現場で発生した事故全般として、脳損傷の被害者家族の他、熱中症や頸椎損傷で被害に合われたご家族の発表がありました。
この他、被害者の会には学校柔道で心臓震盪を起こされ死亡されたお子さんをもつご両親も参加をされています。

被害者家族からの報告の最初に妹が立ち、妹は康嗣の事故状況とその後の対応について述べ、顧問に正しい知識さえあれば事故は防げたと訴えました。
他の3家族の皆さんも同様に、自分の子供達がどのような状況で事故にあったか、加害者はどのような事をしたのか、その後、学校や行政の対応がどうであったのかについてお話をされました。

この被害者家族からの報告を聞かれた議員の方からは、練習ではなく虐待であるとさえ感じるという意見がだされました。

家族からの報告の後、被害者の会の小林会長より、
「多発する柔道事故の現状」
「柔道による重篤な脳損傷事故の発生機序」
「柔道事故撲滅のための提言」
などシンポジウムで訴えつづけてきた柔道事故撲滅のための提言をしました。

また、当日の配布資料には勉強会の前日に届いた、名古屋大学の内田良准教授の最新の分析データ「柔道による負傷事故の分析(速報)」を入れ、死亡、傷害事故に直結する可能性のある頭部や頸部への負傷事故は、部活動よりも授業での柔道の方が多発していることをについても言及をいたしました。
部活動よりも柔道の授業の方がリスクが高いという、この内田先生の分析結果は、衝撃的なデータでした。
今後、武道必修化の議論がされる時に必ず取り上げられることになると思います。
後日、詳細に記事にしたいと思います。

ご出席された方の多くは、日本の学校柔道でこれほどまでに子供が死んでいる事も発生機序についてもご存知ではなく、衝撃を受けられたご様子でした。

この発表の後、私の方から、
「被害者の会のあゆみ」
「全柔連の指導者資格制度の問題点について」
「武道必修化についての不安意見」
を発表をしました。

被害者の会からの報告・発表の後、文科省の担当者より武道必修化と安全確保のための概要が話され、質疑応答に移りました。

勉強会の最後に、主催をされた民主党の中根議員からは、当会からの発表や質疑応答の内容から、文科省のご担当者に対して、「武道必修化の導入を延期することもふくめて検討が必要ではないか」とする発言がありました。
そして、国会議員もこの柔道事故の問題点について知識不足の者も多く、今後も継続して勉強会を開催していくとされました。

最も多く発生している学校管理下の柔道事故、その撲滅のための大きな一歩になる勉強会でした。

次回は、この勉強会で発表した「全柔連の資格制度の問題点」について記載をしていきます。




FC2blog テーマ:気になる教育行政 - ジャンル:学校・教育

【2011/12/17 15:34】 | 武道必修化
トラックバック(0) |
昨日(2011年12月16日)、衆議院第二議員会館において国会議員が主催する柔道事故の勉強会「学校における柔道事故に関する勉強会」が開催され出席をしてきました。
このことは後ほど、別記事で記載をいたしますが、この時に指摘させていただきました関連映像として是非ご覧いただきたいものがありますので、先にそちらの記事をアップいたします。

先日もお知らせをしたフジテレビのFNNスピークで放送された柔道事故特集は2日間にわたり放送されました。

2日目の冒頭の映像で、島根県松江市で行われた柔道経験の無い体育教員の方への研修会の様子が映されています。
先日、愛知県では柔道経験の無い教員の方に対してわずか4日間の講習だけで体育での柔道指導に当たらせる事、しかも4日間の講習だけで未経験者に黒帯を授与している事に、大いなる疑問と懸念を表明しましたが島根県松江市の講習は、2日間だけというものでした。
インタビューに答えていらっしゃった教員の方は、「未経験の子供に教えるのは怖い部分がある」とお話をされていました。
正直なご感想であると思います。

これは、武道必修化に特化した研修会として国庫補助事業として認定された「地域社会武道指導者研修会」での内容です。
どう考えてみても、まったく柔道経験の無い教員の方に、わずか2日間の研修だけで柔道の授業にあたらせるというのは無理があります。無理というよりも、これは無茶です。

以下に動画配信のリンクを記載いたします。
(動画配信は、期日限定されていると思いますのでお早めに)

柔道事故特集第1回(2011年12月13日放送)
http://www.fnn-news.com/news/headlines/articles/CONN00213434.html

柔道事故特集第2回(2011年12月14日放送)
http://www.fnn-news.com/news/headlines/articles/CONN00213506.html



FC2blog テーマ:気になる教育行政 - ジャンル:学校・教育

【2011/12/17 09:46】 | マスコミによる報道
トラックバック(0) |
今週の金曜日(2011年12月16日)、衆議院第2議員会館において国会議員で開かれる「学校における柔道事故に関する勉強会」に全国柔道事故の会として参加することになりました。

この勉強会は、民主党の初鹿議員が中心となり進めていただいたもので、民主等の議員、秘書、文科省の方々が参加され、そこで全国柔道事故被害者の会が柔道事故の実態についてお話をさせていただくものです。
当日は、被害者家族より被害状況を発言した後、柔道事故全体の問題点、重篤な事故の発生機序、柔道事故防止への提言等を全国柔道事故被害者の会より行う予定になっています。

当日は、我が家の事故についても被害状況を報告をする事になっています。

「学校における柔道事故に関する勉強会」
日時:2011年12月16日 14:30~
場所:衆議院第2議員会館 地下第4会議室

FC2blog テーマ:気になる教育行政 - ジャンル:学校・教育

【2011/12/13 19:32】 | 武道必修化
トラックバック(0) |
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。